悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

2023-07-07から1日間の記事一覧

4)脳と前頭前野 4-5-2-2)前頭前野を三分割

4)脳と前頭前野 4-5-2-2)前頭前野を三分割 前頭前野は、1)内側前頭前野、2)眼窩前頭皮質、3)外側前頭前野で構成されます。 1)内側前頭前野は、行動を発現するための動機付けの制御に関与します。内側前頭前野がメタ認知との関連が強いです。 2)眼窩前頭前野…

4)脳と前頭前野 4-5-2-1)前頭前野全般

4)脳と前頭前野 4-5-2-1)前頭前野全般 人間の脳の最終的成長成熟部位は前頭葉、特にその内でも前頭前野です。と言っても、全く手付かずではなく5歳頃から部分的に成長が始まりますが、なかなか成熟とまでは行きません。成熟にはかなりの経験を必要とするから…

4)脳と前頭前野 4-5-1)個別的脳の発達

4)脳と前頭前野 4-5-1)個別的脳の発達 最初に「体の脳(脳幹、間脳、小脳)」が発達し始め、発達ピークは、0歳~5歳頃で、その間に生きていくために最低限必要な機能が発達します。勿論生まれる前から機能しているものもたくさんありますが。 次に大脳辺縁系が、…

4)脳と前頭前野 4-4)脳の成長(成熟)とは

4)脳と前頭前野 4-4)脳の成長(成熟)とは 脳は、ごく大ざっぱに分けると、下から、1)脳幹(生命維持)、2)大脳辺縁系(感情と記憶)、3)大脳新皮質(思考)と階層構造的に積み上がっています。生まれた時からこれらは全て構造的には揃っています。揃ってはいますが…

4)脳と前頭前野 4-3-2)脳一般の成長

4-3-2)脳一般の成長 ここで脳の全般的成長を外観して行きます。赤ん坊は、300〜400gの脳を持って生まれ、それは大人(大人の脳の重さはおよそ1300〜1400g程度)の3分の1~4分の1程度の重量です。それが10年(小学校高学年まで)ほどかけて大人と同じ重量まで育ち…

4)脳と前頭前野 4-3-1)心の成長=脳の成熟

4-3-1)心の成長=脳の成熟 個体の受精卵が成体の形になる過程を「個体発生」という。それに対して、地球上に最初に誕生した単純な生物から多種多様な形(形態)が生まれてきたその変化の過程(歴史)を「系統発生」という。 「個体発生は系統発生の短い反復要約」であ…

4)脳と前頭前野 4-2)メタ認知

4-2)メタ認知 「1)「心」と「脳」」章で、脳を取り上げましたが、その章では、主に心について説明しました。ここでは脳機能に重きを置いて説明します。 「3)意識」章の「3-1-2-1)「メタ認知」」でメタ認知を取り上げました。あらためて、メタ認知とは、自己の認知活動(知…

4)脳と前頭前野 4-1)自我の芽生え

4-1)自我の芽生え 自我の芽生えに関しては「2)「自我」と「島皮質」」で、既に自我を取り上げてきましたが、あらためて脳と関連させながら自我について考えて行きます。 ところで幼い子がメタ認知が機能し始めるのはいつ頃からでしょうか。メタ認知(前頭前野)能力…

3)「意識」と「その三つの理論」 3-2-3)グローバル・ワークスペース理論

3)「意識」と「その三つの理論」 3-2-3)グローバル・ワークスペース理論 オランダ出身の心理学者バーナード・バーズが提唱した「グローバル・ワークスペース理論」をフランスの神経科学者のスタニスラス・ドゥアンヌが脳科学的に検証できるように発展させた理論「グロー…

3)「意識」と「その三つの理論」 3-2-2)統合情報理論

3)「意識」と「その三つの理論」 3-2-2)統合情報理論 「意識の本質的な性質は1)情報と2)統合であると見なす」。「脳が意識を持つためには、神経細胞同士が密に情報をやりとりし、更にネットワーク内部で多様な情報が統合されている必要があります」。「ネットワーク内…

3)「意識」と「その三つの理論」 3-2-1-3)身体図式

3)「意識」と「その三つの理論」 3-2-1-3)身体図式 ちなみにですが、というのは、受動意識仮説には出て来ないのですが、無意識的に姿勢や運動を制御するために、脳内では「身体図式」が存在します。この身体図式は、様々な多重感覚によって、身体各部や身体各部の…

3)「意識」と「その三つの理論」 3-2-1-2)「エピソード記憶」

3-2-1-2)「エピソード記憶」 受動意識仮説にとって大きな意味を持つということで、エピソード記憶(日常の出来事の記憶)について説明して行きます。陳述(宣言的)記憶の一つであるエピソード記憶とは、「個人が経験した出来事に関する記憶」であり、「意味記憶」に存…

3)「意識」と「その三つの理論」 3-2-1-1)「受動意識仮説」

3)「意識」と「その三つの理論」 3-2-1-1)「受動意識仮説」 前野隆司教授が唱える「受動意識仮説」とは、「意識は、自ら命令を出して脳を動かしているのではなくて、脳の自律分散処理(無意識領域)を受動的に見て、それをあたかも自分がやったかのように錯覚するだけ」…

3)「意識」と「その三つの理論」 3-2-0)意識に関する三つの理論

3-2-0)意識に関する三つの理論 脳は情報を高度に処理しています。この段階は、コンピュータもできます、というよりもこの段階では最早現代のコンピュータの方が優れている分野も多くあります。 しかし脳がコンピュータと決定的に違っているのは、意識によっ…

3)「意識」と「その三つの理論」 3-1-5)意識の消失

3)「意識」と「その三つの理論」 3-1-5)意識の消失 余談ですが、意識が消失する場合、1)前頭前野の内側部や外側部、2)頭頂連合野などの様々な領域に広がる皮質ネットワークの機能障害が意識の大局的な消失に関係しています。側頭葉でのてんかん発作における意識…