悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

4)脳と前頭前野 4-3-2)脳一般の成長

4-3-2)脳一般の成長

ここで脳の全般的成長を外観して行きます。赤ん坊は、300〜400gの脳を持って生まれ、それは大人(大人の脳の重さはおよそ1300〜1400g程度)の3分の1~4分の1程度の重量です。それが10年(小学校高学年まで)ほどかけて大人と同じ重量まで育ちます。

脳は、千数百億個の神経細胞(ニューロン)で構成されています。勿論脳は神経細胞だけで構成されているわけではありませんが。この神経細胞からは互いに信号の入力出力を行う配線コード(軸索[送信専用]と樹状突起[受信専用])を出し合って神経回路(神経ネットワーク)を作り出します。この神経細胞同士の結合をシナプス(軸索と樹状突起の結合)と言い、このシナプスの中を信号が駆け巡っていくことで脳が働きます。言い換えると、ばらばらのチップ(神経細胞)が繋がって連結することで、神経回路ができます。

脳の重さが増えるのは、神経細胞の数が増えるのではなく、主に細胞から出す配線コード(軸索と樹状突起)の本数が増えるからです。1個の神経細胞には約1万個の樹状突起[受信専用]が存在するので100兆個もの樹状突起の本数が存在することになります。このように細胞同士がたくさん繋がって神経回路(脳機能の基盤)を形成されます。脳の成熟とは、脳内情報処理過程が安定した機能となることです。言い換えると、神経(細胞)の髄鞘(配線コードの被膜化)が形成されることによって情報処理速度が速くなることです。

つまり第一段階は神経細胞から1)配線コードが張り巡らされて神経回路が形成されます。がこの段階は配線コードはまだ裸電線なのであまり機能しません。次の段階は、その裸電線に2)被膜を巻付けて電気(情報)の流れる速度を上げます。

注)神経細胞には軸索は一本しか伸びていません。なお軸索は送信専用コードで、樹状突起は受信専用コードです。