悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

2023-07-05から1日間の記事一覧

2)自我と島皮質 2-4-1-4)島皮質と自他の区別と自己意識

2-4-1-4)島皮質と自他の区別と自己意識 ある姿が、自分自身の姿か他人の姿かを判断する時に島皮質が活動します。つまり島皮質は自他の区別をつける場所です。他人の目を意識すればするほど、右島皮質の活動と自己意識情動の増強とが相関(連動)します。鏡など…

2)自我と島皮質 2-4-1-3)島皮質と時間

2)自我と島皮質 2-4-1-3)島皮質と時間 島皮質は、「過去と今現在と未来」を繫げる時間的結節点ともなります。例えば島皮質は、今現在身体に生じた進行中の痛みの知覚だけではなく、将来の痛み刺激の「予測」もします。不快(感覚)の予測が増大すると未来に向けて…

2)自我と島皮質 2-4-1-2)島皮質と感情

2)自我と島皮質 2-4-1-2)島皮質と感情 島皮質が上で内外からの感覚を受信して束ねる働きを担うことを説明しましたが、島皮質の前部から中部にかけての領域は、感情の中枢でもあります。というのは、島皮質は扁桃体(感情機能)と相互的に連絡を取り合っていま…

2)自我と島皮質 2-4-1-1)島皮質と外界の五感と内受容感覚

2-4-1-1)島皮質と外界の五感と内受容感覚 島皮質は、自分の外側から来る感覚(五感)と内側からの感覚(内受容感覚)をつなぎます。例えば内向(注意を自らの心身に向け)して、心拍や呼吸といった身体内部(内臓感覚)の状態に関する感覚である内受容感覚を意識する…

2)自我と島皮質 2-4-1-0)島皮質とは

2-4-1-0)島皮質とは 島皮質は、大脳新皮質の奥深くに埋没し、他の部位に完全に覆われています。具体的には前頭葉、側頭葉、頭頂葉、大脳基底核に囲まれた場所にあります。その位置は、脳全体をバランスよく協調的に働かせるために必要な、情報中継集積拠点と…

2)自我と島皮質 2-4-0)情報集積基地の島皮質

2-4-0)情報集積基地の島皮質 自己同一性とは、様々な種々雑多な経験や情報を脳内に蓄積して来たとしても、自己同一性という表現を使うことから分かるように、まとまった統一した安定した体系化された自己を構築して行かねばなりません。では脳内にそのような…

2)自我と島皮質 2-3-2)社会の中での自我同一性(自我)の確立

2-3-2)社会の中での自我同一性(自我)の確立 自我の確立は、前半部分(主に小学生時代)は「個人内での自我」の確立ですが、後半部分(思春期)は「社会の中での自我」の確立です。後半部分での社会性自我の確立に失敗すると社会性の確立が失敗することとなります。つ…

2)自我と島皮質 2-3-1)個的自我(自我同一性)の確立

2-3-1)個的自我(自我同一性)の確立 あらためて自我の話に戻ると、「自我が芽生え」始めて「自立心」が育ちます。その自立心の元でやがて「自我が確立」されると、他人に振り回されることが減り、自分自身の人生を安定して進めることができます。自我が確立するとは…

2)自我と島皮質 2-2-3)内発的動機づけの脳内システム

2-2-3)内発的動機づけの脳内システム 内発的動機づけは、脳的には1)「前頭前野」外側部と腹内側部そして2)線条体(側坐核:意欲の発生源)が重要な役割を果たしています。腹側被蓋野(ドーパミン発生源)から側坐核(意欲の発生源)への投射[情報発信]経路は動機付け(…

2)自我と島皮質 2-2-2)自我と内発的動機付け

2-2-2)自我と内発的動機付け 「自立性、自主性、主体性」は、「内発的動機付け」が後押ししているように思えます。内発的動機付けとは、個人の内面(心)に沸き起こって後押して行動化させる「興味や関心や意欲」をいう。つまり「自立性、自主性、主体性」=「内発的動…

2)自我と島皮質 2-2-1)自我と主体性

2-2-1)自我と主体性 「自立性」とは、他の人に依存することなく、自分で考えて選択や行動ができることです。「自立心」とは、他の人からの指示で行動するのではなく、自分自身が考え、自分から行動するために必要な内的な心構えです。「自主性」とは、「予め決めら…

2)自我と島皮質 2-2-0)心理学的「自我」とは

2-2-0)心理学的「自我」とは 1879年(カント誕生から約150年後)に哲学の一領域から心理学が誕生しました。哲学の自我(心)を見てきたので、次に心理学から自我を見て行きましょう。 人間は2歳ぐらいに自我が芽生えます。「自我」とは、思考、意志、行為などの諸精…

2)自我と島皮質 2-1-3)デカルトからカントへ

2-1-3)デカルトからカントへ デカルトは、自我、精神、意識を「能動性を持った心的実体」という。カントは、それを「ひとつの意識としてまとめている統一・総合の働き」という。カントは、デカルトの心(自我)よりも格段と細分化し明確化しています。やはりデカル…