悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

2)自我と島皮質 2-4-1-2)島皮質と感情

2)自我と島皮質

2-4-1-2)島皮質と感情

島皮質が上で内外からの感覚を受信して束ねる働きを担うことを説明しましたが、島皮質の前部から中部にかけての領域は、感情の中枢でもあります。というのは、島皮質は扁桃体(感情機能)と相互的に連絡を取り合っています。島皮質は、危険を知らせる警報装置としての役割を果たす第一段階の扁桃体と結びついていて総合的警報中枢(顕著性ネットワーク)として機能します。

主観的に(自分事として)感情を感じる場合に島皮質の活動が高まります。特に右島皮質は、主観的に経験する感情の強さを調整し感情の正確な識別に重要な役割を担っています。例えば島皮質の摘出手術後、感覚(例えば痛み)は感じられても、次へと繋がる(以前は普通に感じていた)怒りや悲しみなどの感情が感じられなくなります。

更には他人の気持ち(感覚や感情)と自分の気持ちを繫げる共感機能を持ちます。例えば他者の情動を内的に模倣する時に活動します。感情についても音楽により生じた知性的なしかも心身ともどもの感動でも島皮質は活動します。