悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

2)自我と島皮質 2-2-0)心理学的「自我」とは

2-2-0)心理学的「自我」とは

1879年(カント誕生から約150年後)に哲学の一領域から心理学が誕生しました。哲学の自我(心)を見てきたので、次に心理学から自我を見て行きましょう。

人間は2歳ぐらいに自我が芽生えます。「自我」とは、思考、意志、行為などの諸精神活動の「能動的実行主体」です。一般的には、自我とは、「いろいろなものを感じたり、考えたり、行動したりする能動的実行主体」です。

自我の芽生えとは、具体的には、「自分でやりたい」と「自分の意志」を「表示する」ようになることです。この場合の意志とは、「思考の行動化宣言」です。他者(親、保護者、養育者)に頼っていた行動を次から次へと自分自身でできる(ハイハイ、立っち、歩行など)ようになると、自分を「行動の主体者」として実感するので、「あれをやりたい、これもやりたい」という欲求と自己主張が育って来ます。その「主体者が自我」です。