悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

2)自我と島皮質 2-1-2)カントの自我

2-1-2)カントの自我

デカルトの誕生から130年ほど後の、1724年、現ロシア領カリーニングラード生まれのカントは、「ひとつの意識としてまとめている統一・総合の働き」を「超越論的自我」と呼びました。この統一の働き(自我)は、純粋な能動性、主体として機能します。その働き自身が内容として自覚されることはありません。それは意識全体を支える形式(空箱)だという。

更には、人間の持つ「認識」とは、五感から入ってきた情報を時間と空間という形式によってまとめあげる能力としての「感性」(知覚)、概念に従って整理する能力としての悟性(「知性」)、それに基づき考える能力としての「理性」によって「統一像」へともたらされたものだという。つまり、私たちは物をそれ自体として認識するのではなく、物が私たちに現れる通りに認識することしかできないという。