悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

3)「意識」と「その三つの理論」 3-1-2-0)「認知・認識可能状態」

3)「意識」と「その三つの理論」

3-1-2-0)「認知・認識可能状態」

レベル1)の覚醒状態は、部屋(大脳新皮質)に明かりが灯った状態ですが、レベル2)の意識状態(認知レベル)は、自分の今ある状態や、周囲の状況などを「認識(認知)」(理解)できている(認知機能が起動している)状態をいう。脳でいえば、大脳新皮質の(精神)機能が作動している状態です。この意識状態は、「自分の周囲の環境と私たちの内部状態を認識把握」させる認知機能(メタ認知機能を含む)が起動していることで可能となります。つまりレベル2)の意識=外部環境と内部環境を認識できている状態です。

まず身体に1)感覚情報が入り込みます。外界からの感覚をもとに構成されたある程度まとまったを情報を2)知覚します。その知覚した知覚情報が「意味づけ」(過去の記憶情報との照合と意味価値判断)された上で「意識に上る」(無意識レベルでの認識もあります)ことを3)認識(認知)という。認知認識は、感覚情報として上がって来た(大脳新皮質感覚野に入った)知覚情報に過去の記憶情報との照合と意味価値判断の作業過程をいう。

注)認識=認知

注)大脳新皮質は、6層から構成されています。第4層は、視床(感覚情報の通路)からの入力層です。視覚野、聴覚野、体性感覚野、運動野などの一次中枢では、視床特殊核からの入力線維(入力専用配線コード)がこの層に入っています。つまり感覚情報の通路である視床は大脳新皮質の第4層にまず最初に達しています。逆に第6層は軸索を視床へ投射(出力用配線コード)します。つまり大脳新皮質と視床(第4層と第6層)は情報のキャッチボールをします。第2・3・5層は第1層に集束します。この第1層は大脳新皮質間の横の連絡通路です。第5層は大脳新皮質下(下位階層)へも出力(投射)します。

連合野(高次の認知領域)は、感覚情報の高度な統合による認知、複数の感覚の総合、感覚と運動の統合、過去の経験(記憶)との照合、随意運動、情動行動、言語機能、精神機能、作業記憶などより高次な脳機能を担当します。

青斑核によって覚醒された「前脳基底部(コリン作動性神経)」は、好ましい、嫌悪的、新規的、など意味のある刺激があった時に、その刺激の情報を伝え、行動的な覚醒、注意、集中を促します。そのようにして脳全般の活動を調整する形で学習面に重要な役割を果たします。

つまり脳幹青斑核(ノルアドレナリン)が大脳全域に賦活信号を送り覚醒をもたらし、前脳基底部(アセチルコリン)が認識認知活動をもたらします。ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たします。