悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

4)脳と前頭前野 4-3-1)心の成長=脳の成熟

4-3-1)心の成長=脳の成熟

個体の受精卵が成体の形になる過程を「個体発生」という。それに対して、地球上に最初に誕生した単純な生物から多種多様な形(形態)が生まれてきたその変化の過程(歴史)を「系統発生」という。

「個体発生は系統発生の短い反復要約」であるという「個体発生と系統発生の並行関係」を「生物発生原則」として定式化されました。

動物は、その系統発生の過程を基本的には変えずに、過程の最後の段階でさまざまな形態形成を「付け加える」ことによって「進化」してきました。

脳に関してもこの生物発生原則は大まかには成立します。脳=心なので「心も生物発生原則に従い」ます。ということで、この系統的に古い脳の方がより早く成熟し、前頭葉(前頭前野を含めて)のように進化の過程で後から追加的に進化発達した脳の領域は順を追ってゆっくり成熟します。

大脳辺縁系(扁桃体[感情機能]を含めて)は、第2次性徴期に性ホルモンの急激な分泌とともに急激に成熟し、思春期にその活動が高まります。つまり第二反抗期(精神機能の成長成熟)が始まります。前頭前野には大脳辺縁系の働きをトップダウンに(上位から)抑制する働きがあります。でも前頭前野は扁桃体をきちんと抑制制御できるほどにはまだ成熟していないので、思春期は疾風怒濤の時代といわれます。