悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

3)「意識」と「その三つの理論」 3-1-5)意識の消失

3)「意識」と「その三つの理論」

3-1-5)意識の消失

余談ですが、意識が消失する場合、1)前頭前野の内側部や外側部、2)頭頂連合野などの様々な領域に広がる皮質ネットワークの機能障害が意識の大局的な消失に関係しています。側頭葉でのてんかん発作における意識の障害では、1)前頭前野と2)頭頂連合野の脳血流量の減少と、逆に3)視床の内背側部などの正中部の脳構造の血流の増加が見られます。この事例からは、意識に強く関わるのは、前頭前野と頭頂連合野だといえそうです。

しかし)前頭前野と2)頭頂連合野が関わらず、アセチルコリンやノルアドレナリン、セロトニン、ヒスタミン、オレキシンなどを放出する網様体賦活系の神経核の急性の切除だけでも、意識の消失と昏睡を引き起こします。この網様体賦活系は、意識発電所的役割(覚醒機能)を担っているように思います。脳幹より上位の大脳辺縁系や大脳新皮質が認知・認識を担います。