悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

8)悟りと漸悟 8-2-3-1)扁桃体の感情表現の変化

8-2-3-1)扁桃体の感情表現の変化

ここは感情(扁桃体)についてですが、感情の処理経路が、1)粗いが処理の速い経路と、2)詳細だが処理は遅い情報処理を行う経路があります。

1)経路は、大脳皮質を経由しないで直接脳幹や視床から「扁桃体」へと入ってそこが無意識的情動判断をします。

それに対して2)経路は、視床から扁桃体を経由せずに直接「大脳新皮質(大脳新皮質前頭前野)」(思考)や海馬(過去の記憶庫)を経由して扁桃体へ入って理性的判断をします。

しかしそれだけではなく1)経路と2)経路の両経路の情報は最終的には扁桃体であらためて統合され修正されます。つまり情報更新されます。

扁桃体は、ネガティブな情動刺激にもポジティブな情動刺激にも反応します。腹側被蓋野(A10)から1)ドーパミン(快楽・報酬系)が、中脳背側縫線核と正中縫線核から2)セロトニン(整え系)が、青斑核から3)ノルアドレナリン(興奮系)が、マイネルト基底核から4)アセチルコリン(興味関心系)が扁桃体へ流入します。

具体的には、ドーパミンは、意欲、動機、学習などに重要な役割を担います。扁桃体に限らないのですが、セロトニンは、ド-パミンやノルアドレナリンなどを制御し、精神を安定させます。ノルアドレナリンは、集中力を高めたり、積極性なポジティブな行動を起こす反面、恐怖や怒り、不安などのネガティブな感情をも引き起こします。アセチルコリンが増すと、大脳新皮質脳波の速波成分(シータ波とガンマ波)が増えます。これは集中指標です。「シータ波とガンマ波の循環」はゾーン体験の有力な指標です。

扁桃体は、情動的な出来事に関連付けられる記憶の形成と貯蔵における役割を海馬とともに担っています。