悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

2)自我と島皮質 2-4-1-5)島皮質と共感

2-4-1-5)島皮質と共感

物質は共振が生じますが、動物では共感が生じます。例えばラットの脳の前帯状皮質に共感を感じられるミラー・ニューロンは、同種を傷つける行為を嫌悪するという危害嫌悪を生じさせます。敵と仲間との区別をつける機能を共感は果たします。

その共感とは、他の人の身に起きたことを我が身に起きたことのように感じるこです。島皮質は、他者の身体への危害行為に対しても反応します。島皮質に深刻な損傷を持つ人は、環境や自分自身からも疎外(一体感の不存在)されて深い無関心と共感の欠落状態にあります。人間の場合この共感の神経基盤は、下前頭回の1)ミラーニューロン、2)扁桃体(情動関連領域)、3)島皮質、メンタライジング関連領域(4)内側前頭前野)です。

表情に対する意図的模倣をする時に島皮質が活動します。その時同時に下前頭回および扁桃体も活動します。このようにして感情表情(視覚)と感情(体感)が結びついて感情的共感が生まれます。他者の痛みや感情を認識する時も自分の痛みや感情を認識する時にも同様に島皮質が活動します。これが共感へと発展します。他人の痛みを自分の痛みとして感じることが利他的行動に影響を与えます。

他者の認知をメタ認知するのが内側前頭前野です。他者から見た自分の評価は、内側前頭前野に表示されます。他者からの承認を受け取る脳部位です。