悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

2)自我と島皮質 2-4-1-6)島皮質と心理的・社会的報酬と罰

2-4-1-6)島皮質と心理的・社会的報酬と罰

島皮質は、(物質的ではない)心理的・社会的報酬(感謝、褒め言葉、不正行為の摘発、信頼の獲得、子供や孫の写真)でも活動します。逆に身体的な痛みのみならず、 疎外、死別、不公正な処遇などの心理的社会的な痛みでも活動することから、社会的な報酬や罰の両方に関与していることがわかります。

オキシトシンは、島皮質に作用して他者の情動状態を認知する能力に作用して高めます。利他的行動(向社会行動)を行っている時に、眼窩前頭前野や線条体(報酬に関する脳部位)が活動します。ということで利他的行動は良い評判という社会的報酬(感謝、尊敬など)と見なされています。あるいは肯定感情(自分は良い人)をもたらすような援助行動をすることが、相手への共感性痛みを除去する結果となることが向社会行動を動機付けています。つまり利他的行動には、共感性痛み(辛くて見ていられない)の除去と社会的報酬と肯定感情をもたらします。つまり人間関係を良くしようとする社会性も島皮質がもたらしています。

安心できるような社会環境においてオキシトシンが分泌され、それが不安や恐怖を生み出す扁桃体の活動を抑制するので、他者から裏切られる不安の予測が低下し、その結果として向社会行動が促進されます。