4)脳と前頭前野
4-5-2-3)メタ認知と前頭前野
メタ認知能力の発達は、「行動主体としての自己」に気付く(自己意識の芽生え、自我の芽生え)ことから始まり、5~6歳頃から周囲の状況と自己の能力を比較することができるようになります。メタ認知機能の芽生えです。メタ認知機能とは、「鏡、インターフェイス、モニター」(客観化装置)です。白雪姫に登場する魔女は「喋る魔法の鏡」を持っていますが、あの鏡はメタ認知機能です。何故魔法なのかといえば、メタ認知はあくまでも主観的にしか物事を捉えられないからです。というのはその後自我の思惑が入るので、出された結果は純然たる客観ではありません、比較的客観性が高いということに過ぎません。自我が介入しなければ別ですが。
それであっても、メタ認知の働き(客観性の確保)によって自分自身の意思決定に対しある程度からかなりまで確信をもつことができます。そのようなメタ認知に前頭前野が、メタ記憶(知識)とメタ認知過程(モニタリング+制御)として深く関わっています。
メタ認知は自らの認知活動への「気づき」ですが、メタ認知的なモニタリングと制御は、他の皮質領野(頭頂葉、側頭葉、後頭葉)からの入力やフィードバックを受けた前頭前野における機能です。
未知(初出)の出来事に対するメタ認知判断は前頭前野内前頭極(10野)が中枢的に担い、過去に経験した出来事に対するメタ認知判断は、前頭前野背外側部(9野)が中枢的に担います。