悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

9)成長とそれを促進する理論・方法 9-2-2-2)抑圧から統合へ

9-2-2-2)抑圧から統合へ

それに対して、心理学での用語である「抑圧」は、自我(意識)の手の届かない無意識に閉じ込める(圧し込める)ことです。抑圧は水平(上下)の壁(蓋)です。いずれにしても、ある一定の体験の記憶とそれを元にした思考が、通常の意識から切り離されるという点で解離と抑圧は同じです。しかし抑圧の場合には、記憶(経験)内容が(意識と無意識を持つ)人格との完全解離とまでは行かず、意識にまでは上らずに無意識に沈んだままで、時折意識に向けて影響を与えて来ます。

注)意識を持ってしまうと、独立した人格が形成されます。その意識を消失(喪失)してしまうと、独立した人格ではなくなります。これを悟りと呼ぶ場合もあります。つまり一つの肉体に一つの人格とは限らないのです。

私達にとって、そのような解離や抑圧された記憶(経験)を意識に統合することが成長につながります。というのは、自我人格から解離したり抑圧された記憶(経験)が執着とか煩悩とか雑念とか欲求として意識(自我)に影響を与えて来るからです。それらを意識に統合することで、人格の一部として制御可能となります。つまり同じシステムに統合された個別プログラムのように。