悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

5)無意識と内向性 5-5)無意識的行動と不適応

5-5)無意識的行動と不適応

上で述べたように私達の行動のほとんどは無意識(自律分散処理、つまりプログラム通り)の下で行われています。無意識はある意味機械だから効率的経済的ですが、欠点(弱点)としては「過去に囚われる」ことです。というのは、無意識内容は既に過去に取り込まれた経験や知識を元にしてプログラム化されそれが実行されるからです。といっても無意識層の情報は全て過去のものではなく、今現在の統合レベルの低い感覚情報もあります。

だから今現在の状況に最適な行動でないかもしれない。ただし「小脳をベース」に行われる行動的習慣(自転車乗り、車の運転など)は、今現在の感覚情報をも取り入れながら無意識的に実行されています。

しかしながら心理学の著書には、過去に獲得した習慣化し無意識化した行動(コンプレックス)によって、本人が苦しんでいる症例に満ちあふれています。あるいは無意識層から沸き上がって来る欲求(過食症)、欲望(買物依存症、万引き)、感情(嫉妬心)に振り回される症例が多数紹介されています。

過去(幼い頃)の時点ではうまくいった(例えば親の気を引き付けたり世話を得られたなど)が、年齢が上がった時点(自立性が高まった時期)では「社会的行動としては不適切」になったのに、未だにうまく更新できないでいるために不適応に陥る事例が多々あります、あたかも夢遊病者のように。

無意識は、自動処理自動作業ですからとてもエコで便利なのですが、年齢に応じた社会情勢に適したバージョンアップ(更新)をしないと不適応になる可能性があります。幼い頃の環境では上手く機能した行動も環境が変化(家庭内環境から社会的環境へ)してその後無意識下に沈んでも、ストレス状況で突如として浮上して来ることがあります。