悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

5)無意識と内向性 5-6)無意識化から意識化(自覚)へ

5)無意識と内向性

5-6)無意識化から意識化(自覚)へ

過去の不適切(不適応)な習慣化された無意識に沈んだ行動は、一度立ち止まり客観視(メタ認知)することが必要不可欠です。無意識化した行動は本人にとって省エネモードなので、その点では本人と周りに大きなメリットを与えます。しかし取り巻く環境や文脈は必ず遅かれ早かれ変わり(諸行無常)ます。その変化に応じて、自らの行動にも変化(更新ないし廃棄)を与えていかない限り、遂にはそれがデメリット(不適応行動)になってしまいます。無意識(下で行われる)行動は、意識行動ではありませんから、意識して修正しない限り問題行動が無意識に維持され続けられ、自分も周りもつらい目に遭います。それゆえに、再度の意識化を必要とします。

その方法が、「だるまさんが転んだ」です。メタ認知機能のある前頭前野は、行動抑制機能も持っています。瞑想や内省は、無意識層に沈んだ無意識的習慣的行動を意識に浮かび上がらせます。無意識層からの習慣化した行動(経験)は、意識というフィルターを通すことによって意識化されます。意識化をすれば、うまく適応できるように加工修正消去を加えることができます。

だが無意識行動は自動性を持っているので行動化します。それを抑えるために坐禅したり瞑想したりして身体機能の活性度を下げて行動化を抑制します。前頭前野はその抑制機能を持ちます。レム睡眠は心が働きますが体は休んでいます。ある意味坐禅瞑想はレム睡眠状況を作り出す役目を果たします。

行動の抑制は、実行機能の一要素として位置づけられます。実行機能は、1)古い行動の抑制、2)古いから新しいへの切り替え、3)更新行為の3要素に分割されます。

行動の抑制は、前頭前野の機能で、特に、背外側前頭前野や眼窩前頭前野領域が、直接該当する行動に関する運動野や大脳基底核の活動を抑制します。