悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

9)成長とそれを促進する理論・方法 9-3)意識化とは統合

9-3)意識化とは統合

次で述べる哲学者西田のいう自覚は、心理学的には意識化です。心理学は心を意識と無意識に分けることが多いです。意識化とは、無自覚な無意識層で行われる反射行動に言語などという仲介物(間接化)をはさむことによって、意識的(選択可能な)行動に変更、付け替え(加工・修正)をすることです。例えばフロイトの意識化は、無意識下のコンプレックス(抑圧されて意識にまで浮上できない心的複合体)を意識に昇らせることです。瞑想では、それを観察瞑想と呼びます。

注1)コンプレックスとは、反射的衝動・欲求・観念(考え)・記憶等の様々な心理的構成要素が無意識下で複雑に絡み合って形成された無形的観念の複合体を意味します。それが大きくなって人格化(意識を持つ)すると解離と呼ばれます。なお人格とは、心理学で個人に独自の行動傾向をあらわす「統一的全体」です。

注2)人格化するとは、独立した個人としての振る舞いをすることです。

無自覚・制御不可な反射行動(無意識)に言語という仲介物(間接化)を連結することによって意識的(選択・制御可能な)行動に変更することが意識化(自覚)ですが、このような意識化によって意識が制御できる事柄が増えていきます。成長とは、無意識内容の自覚(意識化)によって一つの「人格的な意識体系」へと統合統一して行く過程です。