悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

6)無我と執着 6-4-1)無我夢中と中央実行ネットワーク

6-4-1)無我夢中と中央実行ネットワーク

知行合一を目指す方法に、仏教におけるもっとも代表的な修行法として禅定(定)があります。心を一点に集中し、雑念を退け、絶対の境地に達するための瞑想方法です。坐禅によって無念無想になる、心を統一して静かに対象を観察し、思索して真理を悟ります。 

「5)無意識」で夢遊病を取り上げましたが、夢遊病と無我夢中との違いは何でしょうか。

無我の境地(無我夢中など)は、意識(前頭前野)があり一つのことに集中していること(不動心)です。脳全体が、一つの課題に全力投球(集中)している一時的な状態(一時的な悟り状態)です。この場合、内向のメタ認知機能(前頭前野)は外向時には働いていません、勿論前頭前野は働いていますが。脳的な言い方をすれば、前頭前野主体に能動性意識として「中央実行ネットワーク」(作業記憶)が課題を全力で遂行している状態が無我夢中です。集中力が高けば、集中度が深ければ、途切れることなく継続できます。これはある意味動的禅定ともいえます。禅定では、通常身体の動きは止めていますが。