悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

3)「意識」と「その三つの理論」 3-1-3-0)「明確な反応」を示す能動的注意状態

3-1-3-0)「明確な反応」を示す能動的注意状態

認知活動は、情報を受け取る、統合的に処理する、理解解釈することで、これらは受動的活動ですが、「注意」は、認知活動の一部分といえども能動的活動です。何故能動的かといえば、トップダウン方向に働くからです。更には最高階層(前頭葉)からのトップダウン活動だからです。

注)ボトムアップ方向を受動といい、トップダウン方向を能動という。

注意は、認知機能の根幹ともいえる能動的意識機能です。といっても無意識レベル(ボトムアップ)の注意もありますが。注意とは、「周囲に存在する多くの情報の中から、不必要な情報を排除し、必要な情報だけを選択」する機能およびその仕組みです。能動的に注意を向けることで、注意対象からの情報のみを特異的に抽出します。そのことによって注意が向けられた感覚情報は素早く正確に詳細に認知されます。

それに対して、複数の刺激(感覚情報)の中で1つの刺激が周囲の刺激と顕著に異なる場合(特異性)や、視覚刺激が突然出現した場合(突発性)、その刺激に対して注意が受動(ボトムアップ)的に惹きつけられることを、受動性(ボトムアップ)注意という。

注意によって活動が増強される脳の領域は、主に感覚野ですが、それぞれの感覚入力を専門的に処理する領域の中でも比較的「高次な処理を行う部分」(連合野)であり、時間的にみると感覚入力後0.1~0.2秒という早い段階で活動が増強されます。