悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

9)成長とそれを促進する理論・方法 9-4-2)西田の自覚とは

9-4-2)西田の自覚とは

西田は分化(分裂)から自覚(統合)を通して、より高い階層に止揚するといいます。純粋経験(全体経験)から思惟や反省(メタ認知)へと分裂(細分化)したものを再度自覚(統合)という行為によって止揚(一段高い階層へと上昇)します。これはこの後で述べる弁証法です。成長は弁証法(的発展)を行使することです。要素を統合(統一)することで一段高い階層に止揚することが成長です。これは、まるごとのピザ(純粋経験)を細分化して一口ずつ食べられる大きさに切り分けて栄養化するべく消化吸収する行為でもあります。ピザ(純粋経験)を丸ごと食べられるのは神だけです。

自覚とは、「自分が自分を知ること」です。「知る自分」(メタ認知機能)と「知られる自分」(認知内容)とは、区別(分解)されねばならないと同時に、「同一の自分」(結合・統合)でもあり続けねばならない。西田幾多郎によれば、主客未分の知るものと知られるものとが一つである直観的意識(直観的認知内容)と、それを外側(意識)から眺める反省的意識(知る主体、メタ認知)とが内的に結合され、統一された状態、それが自覚です。(純粋)経験(正)し、反省(反)し、自覚(合)(反省内容を意識[自我]に取り込む)することで成長します。