悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

7)仏性と修行 7-5-2)釈迦の修行の中身(後半)

7-5-2)釈迦の修行の中身(後半)

それによって自我(意識)は無我(涅槃寂静)にどんどんと近づいて行きます。遂に自我(脳=心の一部)から無我(脳=心の全体)となった時点が悟りの開花です。

私達の自我は、瞑想という方法の内で集中瞑想による能動性意識(トップダウン意識)から観察瞑想による受動性意識(ボトムアップ意識)に切り替えられ、それによって意識がアクセスできる脳内範囲が広がっていきます。そして意識が「脳=心」(無意識全体の内で)全体にアクセスできる広がりを持った時点が悟りです。ちなみに釈迦(仏陀)は宇宙全体にアクセスできたという。それを無上正等覚という。一切の真理をあまねく知った最上の智慧です。つまり意識は脳内に留まらず脳外へ、釈迦のように宇宙全体にまで伸び広がります。

ユングは、意識から個人無意識へ、更には集合無意識へと意識は掘り下げて行くという。このように意識の拡がりは脳内に限定されません。自我が発生した頃には脳内のごく一部にしかアクセスできませんでしたが、脳内全体にアクセスできた時点で無我と名を変え、やがて脳外へと延び広がります。

余談ですが、占いや霊能力は他者の脳=心にアクセスできる能力者ではないかと感じます。仏教の「以心伝心」はこの能力を開発したことを意味するのではと思います。