悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

8)悟りと漸悟 8-2-4)認知様式

8-2-4)認知様式

前頭前野の働きが強くなって感情(扁桃体)が安定することによって、欲求不満の状況でもそれを受容(冷静な受け止め)するとともに、適切冷静に処理し、安定した精神状態を保つことができるようになります。

初期段階は、意識の働きが広くないので、認知過程を漠たる一つの反応として捉えて分析的に細分化して認識できません。中期以降の段階になると、認知過程の段階の一つ一つの反応を分析的に個別的に認識できます。つまり本能的、身体的、感情的、思考的な反応という各認知段階を上から順に個別的に認識できて、自分のこの反応がどの階層から来ているのかが分かります。その結果対処がしやすくなります。

そのように段階が進めば進むほど、意識の制御範囲が広がり、外部刺激(感覚情報)に対する自分の反応を自分で認識した上で自己制御できるようになります。

最終段階になれば、自動化が進み外部刺激に意識的に反応することがほとんどなくなるので、つまり反応そのものがなくなるので反応を制御する必要もなくなります。ただ単に外部刺激にただ受動的に気づく(受容する)という反応(不動智)になります。

不動智は、意識(範囲)がどんどん広がって、本能的、身体的、感情的、思考的な脳部位全体を見渡せるようになることで確立します。