悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

1)「心」と「脳」 1-2-1-2)情(感情)

1-2-1-2)情(感情)

2)情(感情)は、大脳新皮質よりも古い大脳辺縁系の「扁桃体」が中心として担います。広義には、感情には、身体感覚に関連した1)無意識な感情(情動)と、2)意識的な(前頭前野を通過した)感情とに分類されます。

無意識感情(情動)は、大脳辺縁系の扁桃体を中心として、視床下部、脳幹に加えて、自律神経系、内分泌系(ホルモンなど)、末梢系(骨格筋など)までが関与します。感情以外にも身体的反応が伴うのが情動の特徴です。

それに対して意識的感情は、大脳辺縁系(扁桃体)よりも上位に位置する大脳新皮質(特に前頭葉[特に前頭前野])と帯状回(帯状皮質)も関わっています。

注1)帯状回は、大脳辺縁系の各部位を結びつける役割を果たしており、感情の形成と処理、学習と記憶にも横断的縦断的に関わりを持つ部位です。

注2)「島皮質」が機能しなければ、針で突き刺されたとき、それが鋭い尖ったものによる刺激だと理解はできても、次への感情(恐怖や嫌悪)や身体的反応(自律神経反応、逃避反応など)へと結び付きません。痛みにおける感覚と次への情動(感情+身体反応)が切り離されます。つまり「島皮質は感覚と感情とを繋ぐ連結器」の働きをするといえそうです。それに対して「帯状回は、感情(大脳辺縁系)と知性(大脳新皮質)とを繋ぐ連結器」といえそうです。