悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

1)「心」と「脳」 1-2-1-0)心の階層構造

1-2-1-0)心の階層構造

心は脳に宿る、心は、脳が働くことによって生み出されます。心(機能)=脳(構造)と言っても過言ではありません。その脳は階層構造を、大まかには三層構造(脳幹、大脳辺縁系、大脳新皮質)に成っています。

何気なく熱いコップに触った時に思わず手を引っ込める反応を脊髄反射といいます。皮膚感覚(触覚)(知覚)→脊髄→筋(反射・反応)=脊髄反射です。触覚情報が上昇(ボトムアップ)して脊髄で跳ね返り(トップダウンして)筋肉で反応します。

しかし一般には物に触れた場合には、皮膚感覚→感覚神経(ボトムアップ)→上昇系(脊髄)(中継地点)→中枢神経(脳幹)→大脳皮質(大脳辺縁系→大脳新皮質:最高階層)(中枢神経)→下降系中枢神経→運動神経→骨格筋(反応)という過程をたどります。

これは進化(複雑化:階層の建て増し)した結果です。先ほどの脊髄反射では、「「皮膚感覚→感覚神経→(脊髄)→中枢神経」の中枢神経の内でも一番手前の脊髄が最高判断拠点で、そこが判断を下して行動(トップダウン)化させます。この場合には、その上の感情(扁桃体)が判断拠点にはなっていません。

例えば、カエル(両生類)は、大脳と小脳の割合がごく小さく、本能や反射を司る脳幹(中枢神経)が大部分を占めています。感情(扁桃体)機能を持っていません。

注)中枢神経は、厳密には「脊髄+脳幹+大脳基底核+大脳辺縁系+大脳新皮質」を含めます。