悟りは自我から無我への相転移

悟りは自我から無我への相転移。悟りを哲学、心理学、宗教、脳科学から解説します。

6)無我と執着 6-3-3)茶道家千利休

6-3-3)茶道家千利休

「千利休」(戦国時代から安土桃山時代にかけての商人、茶人でわび茶の完成者)の訓をまとめたものに「利休道歌」があります。その中に「規矩作法守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな」という言葉があり、そこから「守破離」が生まれたという。守破離は、「仏に逢うては仏を殺せ」と同じです。守=基本に忠実、破=少し独自性を入れる、離=独自性の確立。

でも利休の場合には、「本を忘るな」と根本精神(無我、「始めて解脱を得ん」)はしっかり保持せよという。千利休は、茶禅一味の修行に励みました。その結果として「茶の湯は、第一仏法を以て修行得道すること也」という。具体的には大徳寺の古渓宗陳に参禅して、悟道の印可を受けました。禅の根本精神(無我)を具体的な武術、芸能、茶の湯、活け花に具現(顕在化)させることによって、それらは、武道、芸道、茶道、華道などなどの「道」となります。「道」といえるには、根本精神である「無」(無我、諸法無我)を基礎に据えて、技芸に励む態度を行じることが必要不可欠です。